今回から数回に分けて2019年11月現在最新の全国病院別、ステージ別のがん5年生存率についてまとめていきたい。
当記事は病院の良し悪しを比べることを目的としたものではなく、皆さんがお住いの地域におけるがん診療連携拠点病院の現況をご理解頂くことを目的とし、地域ごとに紹介していく予定だ。
今回は、胃がんについて取り上げる。
※2019年12月7日に更新を行い、関東地方の5年生存率データを独立した別ページに移動しました。
データを見る際のポイント・注意点
本データの集計対象者
- がん診療連携拠点病院において2009年から2010年に胃癌と診断された人。
全国全ての病院が対象となっているわけではないこと、患者数が30人に満たない部分については生存率が計算されていないことにご注意を。
また、施設によって患者さんの人数にかなりの差があり、患者さんの総数や病期(ステージ)ごとの割合などにもぜひ注目して欲しい。
今回のデータだけでは言い切れないが、ごく単純に考えれば、
- 多数の患者さんを診療している病院はがん治療の経験が豊富でマンパワーも特に充実している
- ステージIの割合が高い都道府県(施設) = その地域におけるがん検診が機能している
と言えるかもしれない。
(病院数が少ない地域もあるのであくまでも参考に)
ステージIの比率が比較的低い地域にお住まいの方はがん検診について改めて検討する機会になれば幸いだ。
今回お示しする生存率は実測生存率
実測生存率は死因に関係なく純粋に5年後に生存しているか否かを調べており、がん以外の原因で亡くなった場合も生存率を下げる要因となる。
つまり、がん以外の疾患を併発している患者さんが多い施設では低くなりがちであり、高齢者が多い施設でも同様のことが言える。
今回の数字だけで単純にどこの病院の治療成績が良い悪いなどの比較・評価はできない。
生存状況把握割合
読んで字の如く、生存されている方の状況が把握できている割合であり、100%に近ければ近いほど正確な評価と言える。正確な評価には95%以上が望ましいとされており、今回のデータでもそれを下回っている生存率は参考値と考えておくと良いだろう。
平均年齢
年齢が高いほどがんとは関係なく死亡率も上昇するため、実測生存率にも影響する。実測生存率を解釈する際には平均年齢も必ず確認してほしい。
引用元
今回のデータはがん情報サービスにて公開されているがん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計報告書を元に作成している。
報告書には、今回紹介しているデータの他、性別の割合や年代、外科的治療の有無、がん発見の経緯が記載されている。
また、各病院ごとのコメントも載っているので詳細はそちらでご確認頂きたい。
5年生存率集計報告書 施設別報告書
全国病院別 胃がん5年生存率
関東地方(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川)
全60施設
近畿地方(滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)
全39施設
東海地方(岐阜・静岡・愛知・三重)
全24施設
九州・沖縄地方(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)
全46施設