がん基礎知識

乳がん予後のオンライン予測ツールPredictの使い方

今回はPredict breast cancer という乳がんの予後を予測するオンラインツールの使い方を解説する。

順を追って図解していくので、使ってみたいけど英語が苦手という方使い方がよくわからないという方はどうぞご利用ください。

目次

Predict breast cancer ってなに?

乳がん手術後の生存率術後ホルモン療法や抗がん剤治療などによる上乗せ効果をざっくりと見積もることができる無料のオンラインツール。

各個人の腫瘍の特徴を入力していくことで5, 10, 15年後の生存率、期待される治療効果が具体的な数字として確認することができる。

ちなみに前立腺がん用のPredict prostate もある。

 

色々と欠点もあるが、治療方針について主治医と相談する際に、1つの参考値として知っておくと有用だろう。

このツールを使って生存率や上乗せ効果の推定値を知るためには腫瘍の情報が必要なので、不明点は主治医に問い合わせると良い。

 

Predict Breast cancer の使い方

まずはPredict breast Cancerにアクセスする。

手順1 ツールを使って推定値計算の開始

リンク先の> Start Predict をクリックする。

 

手順2 各選択肢に情報を入力していく

2-1 DCIS or LCIS only?

浸潤癌の場合はNoにチェックを入れる。

もし、DCIS(非浸潤性乳管癌)もしくはLCIS(非浸潤性小葉癌)だけの場合はyesにチェックを入れる。

Predict Breast Cancer は浸潤癌の予後の推定しかできないため、DCISやLCISだけの場合はこのツールでは計算できない。

 

2-2 Age at diagnosis

乳癌と診断された時の年齢を入力する。

この際、年齢は25歳から85歳の間である必要がある。

 

2-3 Post Menopausal?

閉経している場合はYes、そうではない場合はNo、閉経しているかわからない場合はUnknownにチェックを入れる。

 

2-4 ER status

ホルモン受容体陽性の場合はPositive、陰性の場合はNegativeにチェックを入れる。

 

2-5 HER2 status

HER2陽性の場合はPositive、陰性の場合はNegativeにチェックを入れる。

HER2の状況が不明の場合はUnknownを選ぶが、診断時に必ず検索するので不明ということは基本的にないだろう。

 

2-6 Ki-67 status

Ki67が10%以上の場合はPositive を、10%未満であればNegativeにチェックを入れる。

Ki67の値が不明の場合は、Unknownを選ぶ。

 

2-7 Invasive tumour size (mm)

腫瘍の大きさを入力するが、

  • 腫瘍が複数あった場合は一番大きかったもののサイズ
  • 術前抗がん剤治療をしていた場合は抗がん剤治療前の大きさ

を入力する。

 

2-8 Tumour grade

病理学的なグレード(いわゆる癌の顔つき)を入力する。

 

2-9 Detected by

  • 人間ドックやがん検診によって乳癌が見つかった方はScreening
  • なんらかの自覚症状があって病院を受診して乳がんが見つかった方はSymptoms
  • わからない方はUnkown

にチェックを入れる。

 

2-10 Positive nodes

腋窩リンパ節転移の数を入力する。

腋窩リンパ節郭清をされていない方は0または1、されている方は1以上を入力することになる。

 

2-11 Micrometastases only

腋窩リンパ節転移の数が1つの時だけ入力が可能になる。

見つかったリンパ節転移が

  • 2mm以下の小さなものだった場合はYes
  • 2mmよりも大きなものだった場合はNo
  • 不明な場合はUnkown

にチェックを入れる。

 

手順3 治療選択肢の入力

ここまで入力すると、手術だけの場合の生存率が結果(Results)に出力され、術後の補助治療選択肢(Treatment options)が選択可能となる。

3-1 Hormone Therapy

ホルモン療法(タモキシフェンやアロマターゼ阻害薬)の継続期間を選ぶ。

  • No = ホルモン療法をしない場合
  • 5 year = 5年間内服の場合
  • 10 year = 10年間内服の場合

 

3-2 Chemotherapy

抗がん剤治療の選択肢を選ぶ。

  • None = 抗がん剤治療は一切なし
  • 2nd gen = FEC(フルオロウラシル, エピルビシン, シクロホスファミド)などの第二世代の抗がん剤レジメンでの治療
  • 3rd gen = タキサン系(パクリタキセルやドセタキセル等)などの第三世代の抗がん剤レジメンでの治療

 

3-3 Trastuzumab

トラスツズマブ(ハーセプチン)を使う場合はYes、使わない場合はNoを選択する。

2-5のHER2 status でYesを選んでいる時だけ入力可能。Noの時はグレーアウトしていて選択できない。

 

3-4 Bisphosphonates

ビスホスホネート製剤(骨粗鬆症による骨折の予防が目的)を使う場合はYes、使わない場合はNoを選択する。

2-3 Post Menopausal? がYesの時だけ選択が可能。

 

手順4 結果の見方

ここまで入力を終えると、生存率と治療による上乗せ効果が数字として確認できる。

結果の表示方法が5種類あるが、いずれも見た目(表現方法)が異なるだけで同じ結果を出力している。

4-1 Table

表で生存率と治療の上乗せ効果を確認できる。

5, 10, 15年生存率が確認可能。

4-2 Curves

線グラフとして生存率と治療による上乗せ効果の時間変化を見ることができる。

4-3 Chart

積み上げ式の棒グラフで生存率と治療の上乗せ効果を確認できる

4-4 Texts

文章で生存率と治療効果の確認ができる。

4-5 Icons

100個のアイコンを使って視覚的に生存率と治療効果の数値が確認できる。