今回は、ステージ4の胃がんと確定診断に至った状況をまとめる。
胃がんと気づく前に起きていた、一見胃がんとの関連が見えない症状は下記にて。

また、胃がん発覚のきっかけとなった腹水が見つかった経緯はこちら。

時間の流れとしては、総合病院を受診してから4日で進行胃がんと判明し、2週間程度で病理診断に至った。
造影CT検査での異常発見
11月上旬(診断3日前)
この頃から明確に父の活気はなくなり、痩せが目立つようになっていた。
いわゆる、がん悪液質の状態が始まっていた。
悪液質とは、簡単に言えばがんの進行に伴う消耗状態を指し、筋肉量の低下や食欲不振を特徴とする。
悪液質が進行すると適切な栄養の補充を行っても元の状態に戻すことはできず、予後を悪化させる。
その一方で、腹水によりお腹は膨れ上がり、本人曰く、膨満感がとにかく辛いと言っていた。
前日に引き続き、総合病院へと父は一人で造影CT検査を受けに行っていた。
検査後に簡単な結果説明も受けて帰ってきたようだが、実際のところ説明と呼べるような内容ではなく、その日の担当医にCT画像を前に以下のように言われたそうだ。
この話を聞いたときには俄かには信じ難かったが、こんな物言いのヒトがこのご時世でも生き残っていることに驚いた。
後日調べてみたところ、その日の担当医は経営者一族のヒトだったようで、昔から評判の悪い病院ではあったが、その評判は然もありなんという感じだ。
胃カメラ検査及びステージ4の胃がんであることの告知
11月中旬(CT検査から3日後)
この日は朝から胃カメラ (内視鏡検査)をやり、その後に全ての検査結果の説明が担当医からあるということで、自分と弟も病院に行くことにした。
内視鏡検査の結果
胃の小弯(胃の入り口から出口にかけての内側に湾曲している部分)に出血を伴う15 cm大の潰瘍性病変が見つかった。
また、確定診断のために生検が行われた。
胃がんの告知
担当医は言葉を選びながらも、病理結果が出ないとこの時点で確定診断とはならないが、胃がんである可能性が極めて高いと告げた。
以下が病状説明の要点。
- 確定とは言えないが、ステージ4の胃がんであること
- 腫瘍マーカーであるCEAとCA19-9が高度に上昇していること
- 腹水の貯留がかなり進行しており食欲不振はそのせいであること
- 血中アルブミン量が低下しており腹水貯留に拍車をかけている可能性が高いこと
- 肺塞栓も見つかっており息苦しさの一因になっていること
そして、このままこの病院に入院しても良いし、希望があればがん専門病院に紹介状を書くということだった。
担当医の言葉の端々からは、どこで治療しても結果は変わらないという姿勢が透けて見えた。
結局、宛先なしの紹介状を用意して貰い病院をあとにした。
胃がんの治療を受けるための病院選び
父の状況はとても厳しい状況であった。
そのため、腫瘍内科の先輩に相談しつつ、がん専門病院を含めて各病院の特徴や、進めている臨床試験、治験の状況を一気に調べた。
熟慮の末、候補を3つの病院に絞り、メリットとデメリットを説明した上で父に決めてもらうことにした。
その結果、この時点では父は都道府県がん診療連携拠点病院に指定されている公立病院を選んだ。
病院選びのポイント
がん専門病院?大学病院?
医療に携わっていない方々からすれば、各病院の特徴なんて詳しくはわからないし、何をどう調べたら良いのかもわからない場合が多いかもしれない。
また、かかりつけ医から指定で紹介された場合や地方など選択肢がそもそもあまりない場合では否応なしに病院は決まってしまうかもしれないが、大都市圏では多数の病院があり、どこを選べばいいのかはとても悩ましい問題かもしれない。
そこで一般論ではあるが、がん専門病院と大学病院(総合病院)の特徴を簡単にお示ししておきたい。
現在の日本では標準治療という共通のガイドラインに則ってがんの治療が行われるため、基本的には日本全国どこでも均一な治療を受けられる。
それを踏まえた上で。
がん専門病院の特徴
- 多数のがん患者さんの診療をしているのでがん治療の経験・機微に関しては一日の長がある
- 多数の治験が走っているので未承認薬を用いた治療を受けられる可能性がある
治験薬は安全性や効果が担保されるものではないため、必ずしも未承認薬が良いものではないことには注意が必要
大学病院(総合病院)の特徴
- 多数の診療科が存在するため、がん以外の病気の治療も可能
- 各病院ごとに強みや独自性にかなり差がある
全国の病院ごとの胃がん治療成績
あくまでも参考ではあるが、全国の病院の胃がんの治療成績も公表されており、こちらも病院を選ぶ際の一助になるかもしれない。

大学病院への入院と印環細胞癌の確定診断
11月中旬(胃がん告知から1日後)
余命1ヵ月の宣告
胃がんの告知を受けた病院に次の病院への病理検体の移動方法について問い合わせた。
その際、昨日の担当医から昨日伝えなかったこととして、電話越しに余命1ヶ月の宣告を受けた。
大学病院への緊急入院
胃がんの告知を受けた翌日、母が公立病院に予約の電話をしたところ、初診が1週間後になるとのことだった。
しかし、父の具合は目に見えて悪くなっていた。
食事は全く喉を通らず、栄養剤であるエンシュアもほとんど口に出来なかった。
悪液質の進行は明らかであり、このままでは保たないのは確実だと思われた。
そこで3つの候補の病院のうち、自宅に最も近い大学病院に駆け込むことを決めた。
大学病院では外来診察後、すぐに入院となった。
外来では検査も兼ねて腹水を少量抜いてもらい、多少楽になったことを父は喜んでいた。
印環細胞癌の診断
大学病院に入院して数日後、胃カメラの際に生検した検体の病理結果が届いた。
印環細胞癌だった。
印環細胞癌についてはこちらで解説しています。

ここから、5年生存率7%とされるステージ4の胃がんとの戦いが始まった。
